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ただいま数Iの授業中。
得意とは言えない黒木と戸叶にとって、この教科ほど退屈に感じるものはないようで
一番後ろの席であるのをいいことに、クラスメイト観察にいそしんでいた。

「なあ、トガ」
「あんだ?」
「あれ…どうよ」
「ハ?」

黒木が指す方に戸叶が目を向けてみると…
そこに映るのは、やはり一番後ろの席で教科書を立てて
それに隠れてぐっすり眠っているセナの姿と、
その隣でいつもと変わらない眉間に軽くしわを寄せながらも、
まじめにノートを取っている十文字の姿があった。

「あらー、珍しいこって」
「やっぱそう思うだろ?
つかさー、十文字は数学得意じゃん」

たしかに、仲のいい3人の中でも十文字は成績はいい方だ。
中でも数学は本人曰く「答えがハッキリしてるから好きだな」と言うほどで、
黒木たちも時折り触れ教えを請うている。
普段はノートなど取ることもしない十文字が一生懸命にノートを取っている…

「あ、そういうことか」
「はぁあ?どういうことだよ」

妙に納得した戸叶に、理由がわからない黒木が食らいつく。

「は?わかんねえのか?」
「わかんねえから聞いてるんだろーが!」
「静かにしとかねえと、当てられちまうぞ」

カカカ、と笑いながらあしらう戸叶を軽くにらむと、
ブツブツ何事か呟きながら黒木は視線を黒板に戻した。

時限終了のチャイムが鳴る。
それを耳にした瞬間、セナは驚いたように飛び起きた。

「も・もしかして、僕…寝てた…?」
「もしかしてじゃねーよ」

キョロキョロ見回して慌てふためくセナの頭を、十文字は教科書で軽くパフンと叩く。

「珍しいな、お前が爆睡するなんてな」

その様子を思い出したのか、十文字はクスリと笑いながらセナの前にノートを差し出した。

「これ読んどけ」
「え」
「俺のヤマ感だからアテになんねえかもしれんが、テストに出そうだから」

もうすぐ中間テスト。
これをクリアーしないと関東大会どころではなくなってしまう。

「お前が出れねえとうちに勝ち目はないんだからな」
「…ありがとう…」
「礼なんか言うな…恥ずかしいだろ…」

照れくさそうにぷい、と横を向く十文字と、嬉しそうにニコニコ微笑むセナ。

「おーおー、お熱いこって」
「初々しすぎで、見てるこっちが恥ずかしくなるな…」

そんな二人のやりとりを、黒木と戸叶は半ば呆れ顔で眺めていた。


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